ふとんのなかから

びまん性大細胞型B細胞リンパ腫にかかったあとだらだらしている人のブログ

新書「若者が『社会的弱者』に転落する」を読んで

新書y『若者が『社会的弱者』に転落する』
著者:宮本みち子
ISBN:4896916786
値段:756円(税込)
出版:2002/11
出版社: 洋泉社

※値段が安い。「新卒→就職」のエスカレーターから外れた人におすすめ。


ひきこもり・ニート・無業者などの若者の問題は、単なる変人・異端者への奇異の視線として、とかく個人の問題とされやすい。またマスコミ報道では若者の問題は日本独自の現象のような気配がある。著者はこれらの誤認識に対して、社会構造の変移と経済的側面から明快な答えを提示する。若者問題の原因は「変人だから」ではないし、これは日本だけで起きている現象でもないのだ(例によって欧米ではすでに政策的対応が始まっているという)。


読んでいてうなづくことばかりだった。なぜなら私も無業者だったから。著者も書いているが、競争社会を建前とする若者からの搾取を、大人社会はしすぎている。完全雇用から切り捨てられた若者のうち一体何人がベンチャー企業を興せるというのか。大人社会は気づいていないが、私がそうであるように若者はいつまでも若者でいるわけではない。老人だけが富を持ち、搾取され続けた層が社会の中核になる、そんな時代がこのままでは必ず来る。おそらく初期の「搾取された層」の者として、私は非常に恐怖している。何とかこの絶望的な未来を防ぐ手立てはないものだろうか(やっぱり最終的には海外脱出しかないのかなぁとも思うけど…)。