ふとんのなかから

びまん性大細胞型B細胞リンパ腫にかかったあとだらだらしている人のブログ

ゲド戦記を観てきた

結論:健康を害するほどつまらない
観てから数時間、何であんなもん観に行ったんだろうと酷い虚脱感に襲われました。ご飯を食べて元気になるまでは鬱だ死のう状態。この映画は軽い気持ちで観に行ってはいけません。うっかりすると帰りの電車に飛び込みたくなります。


観ている間は「ライブドア」「亀田」という言葉が何度も頭に浮かびました。やはり今はこういう、ビッグネームを騙ったまがい物商法が大手を振るう時代なんですね。「この視聴率を稼いだのは誰だと思ってるんだ」と凄む協栄ジムの金平会長と「宮崎吾郎で百億稼ぐぞガハハハハ」と高笑いする鈴木Pが頭の中で何度もだぶって見えました。思いついたんですが、ゲド戦記のDVD映像特典には亀田興毅の世界チャンピオン戦を入れてはどうでしょうか。同時代性を象徴する優れた歴史的資料になると思います。


この映画は「一時間」というのがキーワードのようですね。宮崎駿は一時間で観るのをやめ、竹熊健太郎さんは一時間くらいで寝てしまった。この一時間目は抜群に退屈なんですよ。私も「帰ろうか」と最初に思ったのがこの時間帯でした。一時間を越えても帰りたくなったり眠くなったりしなければ、この映画に選ばれた、ということなのでしょう。


では結局どういう映画だったのか。簡単にいうと「起承転結と深みのないジブリエヴァンゲリオン」だと思います。物語は動機が不明なまま父親殺しをした少年の自分探しで、そのわけの分からない物語の最後に、みんなで食卓を囲み笑顔の団らん”おめでとうおめでとうおめでとう”そしてスクリーンに「終」と出て、襲い来る虚脱感。まさにエヴァンゲリオンです。


この映画が苦痛だったのは何より全編が真っ平らだったことですね。山もなく谷もなくオチもない。スペクタクルも喜びも楽しみもない。あるのは陰鬱と醜悪と困惑だけ。作画も酷かったですね。カットによってキャラクターの顔が違ったり描き方が雑だったり。ジブリの作画能力とはこんなものなのでしょうか。ストーリーは全くわけが分かりませんでした。全く描かれていない過去の話が平気で語られるので、まるで「ゲド戦記2」を観ているようでした。


いろいろと不満点を挙げましたが、最も失望したのはクライマックス直前で「心の闇」という言葉が出てきたことです。「父親殺しをした少年」そしてその動機が「心の闇」。これでは完全にワイドショーではないですか。こんな安い題材、安い言葉を軽々しく使った宮崎吾郎のセンスに見るべきものはないと私は思います。


最後になりますが、この映画は本当につまらないです。少なくとも映画館に行って自分がこの映画に選ばれるか試すだけの価値はありません。そのうち公開される「スーパーマン」でも観た方が、きっと楽しいです。