ふとんのなかから

びまん性大細胞型B細胞リンパ腫にかかったあとだらだらしている人のブログ

新橋演舞場 八月花形歌舞伎 第三部 通し狂言「東海道四谷怪談」

一月の終わりに歌舞伎にハマって四月から劇場に通い出したひよっこ初心者ですが見てしまったら感想を残さざるを得ない。覇王翔吼拳を使わざるを得ない。というわけで東海道四谷怪談を見てきましたよ。


演舞場は五月に続いて二回目だけどやっぱり面白くない劇場だなぁ。ハレの日感ゼロ。狭いし。自販機のちっこい飲み物200円だし。ここは山の上かと(笑)。劇場の外に出てる時間ないから飲んじゃうけどさ。舞台が狭いのが何よりダメだと思う。歌舞伎座のあのメチャクチャ広い横幅が早く帰って来て欲しい。あと劇場前の行列タクシーがもの凄く邪魔。


さて東海道四谷怪談。思ったより怖くないというか、もっと必殺仕事人ばりにお岩さんの殺戮ショーがあるのかと思ったらそうでもないんですね。登場人物の大半は民谷伊右衛門になんとなく殺されちゃう。それでも提灯抜けと仏壇返しのシーンは良かったなぁ。あと終盤の、伊右衛門に渡された赤子が地蔵に!お岩さんヒェッヒェッヒェ!のとこも不気味で良かった。そういえば一階あたりでなんかビックリイベントがあったようで観客の叫び声が上がってましたが一体何があったんでしょう。三階からじゃ分からん…。


というわけでお岩さんこと勘太郎さんは良かったです。ちゃんと歌舞伎の枠内にいたような気がします。さて問題は海老蔵さんと獅童さんですね。海老蔵さんの伊右衛門は「ひどい人間である」というのは分かるんだけど、どういう侍なのかが伝わって来ない。塩冶浪人・民谷伊右衛門としての姿や人間性が見えないんで、だんだん「海老蔵がひどいことをしている」という風に見えてきちゃう。マオは大丈夫なのかと。家庭でもあんなんなのかと(笑)。五月の助六の時は助六海老蔵が渾然一体となって素晴らしいキャラクターになってたんですけどねぇ。何が違うんだろう。武家の所作ができてないのか、いわゆる胆(はら)が未熟なのか。あるいは現代人っぽすぎたのかもしれませんね。少なくとも江戸時代の人には見えなかった。台詞回しも一人だけ浮いてたし。例のあの調子はどの芝居でも通用するわけじゃないと思うんでもう少し工夫しないとお父さんと同じになってしまうと思います(笑)。確かにお父さんにはない色気は持ち合わせてるんですけどねぇ。もっと使い所をコントロールして欲しい。


で、獅童さん。こっちは世話物としての基本的な部分がアレだったと思いますね。江戸時代の人間っぽい時もあるんだけど、どうしても現代人が出てきちゃう。もっと所作と台詞回しを勉強すべきだと思います。アメコミもいいけど時代劇見たまえよ時代劇を。播磨屋の「鬼平犯科帳」なんか勉強になるよたぶん(笑)。


次は第二部を見る予定です。今度は全編面白いといいなぁ。