ふとんのなかから

びまん性大細胞型B細胞リンパ腫にかかったあとだらだらしている人のブログ

新橋演舞場 八月花形歌舞伎 第二部

8月20日に見に行って、感想を書こう書こうと思っているうちに千秋楽が過ぎてしまった。なんとか公演中に書きたかったけどこういうのは一度タイミングを逃すと難しい。

暗闇の丑松

これぞ世話物という感じで実に良かった。第二部ちょっと地味かなと思ってたけど三部の海老蔵が残念だっただけに思わぬ拾い物だった。橋之助さんあれで初役とは凄いなぁ…。これまでつちかってきた経験の賜物か。序幕は歌女之丞さんのお熊がいまいちでなんかちぐはぐな舞台だったけど、二幕目の女郎屋からが本当に良かった。登場人物がもうみんな江戸時代人。特に三吉の橘太郎さんが味のある芝居で良かったなぁ。獅童さんの祐次も喧嘩腰に威勢があって良かった。丑松相手の長台詞で現代風になったり噛んだりしてたけど、中村獅童も伊達ではないというのを感じられた。扇雀さんのお米は一度部屋を出てからまた戻って来る場面が良かった。その前の最後の杯を飲むのか飲むのか…やっぱり飲まない丑松も良かった(ここ筋書きでは飲むことになってるのはなぜだろう)。


場面変わって四郎兵衛の家。お今の福助さんが自由奔放な悪女で素晴らしい。配役をよく確認せず見てたから後になって福助さんと知って驚いたくらい。彌十郎さんの四郎兵衛を食っちゃってた気すらする。あれなら丑松に刺されてもしょうがない(笑)。四郎兵衛は意外なほど分かりやすい悪党で、何で丑松はこんな人間を兄貴々々と慕ってたのか不思議。丑松はあんまり頭が良くないんだな…(じゃなきゃ殺人なんかやらかさないか)。大詰の湯釜前。橋吾さんの生き生きとした甚太郎が良い。キビキビ動き回る肉体から若さと明るさが伝わってくるようで、見事なハマリ役だったと思う。往来の物売りの描写も良かったなぁ。「鬼平犯科帳」のエンディングを思い出した。四郎兵衛は死んだのかと思ったら「まだ息がある」という台詞もあって、結局のところ丑松は仕留められなかったんだろうか。続きが激しく気になるところで丑松は花道から去り終幕。いいものを見させてもらいました。

京鹿子娘道成寺

初心者なもんで娘道成寺をちゃんと見るのは初めて。真夏にやるものじゃないとどこかで見ましたが何でなんでしょうねぇ。分からん。福助さんは指先の動きが非常に丁寧できれい…。それだけに押し戻しで怖い顔の怨霊に変化してしまうのはちょっと残念だったかも。もっと花子さんのかわいい踊りを見たかったなぁ。押し戻し自体は、海老蔵さんが花道から登場したり軽い楽屋落ちがあったりとまぁ面白かったけども、完全に海老蔵さんを出すためだけのものなので無理矢理感はあった(笑)。とりあえず貴重なものを見られたのは良かったのかな。今後しばらくはやらないだろうし…。今度は普通の娘道成寺を見たいです。そういえば手ぬぐい撒き、三階にももっと投げてーな。一本しか飛んで来なかったよ(来る方が珍しいのかな)。