ふとんのなかから

びまん性大細胞型B細胞リンパ腫にかかったあとだらだらしている人のブログ

さや侍を見てきた(注:ネタバレ有り)

コントと映画の中間のような作品だった。100点満点で採点すると、コントとしては65点(野見さん60点/僧侶5点)、映画としては45点。野見さんのキャラにだいぶ救われる形ではあっても、コントとしては面白かった。だから「大日本人」よりは大幅に楽しめた。意図したのかは分からないけど妙〜に長いカットがいくつかあって、それが私には面白くて「まだやんのかい!」とツッコミながら見ると面白くてたまらなかった。冒頭の野見さんが疲れてるだけのシーンとか最後の方の僧侶の歌とか、好きだなぁ。僧侶の歌は最初は困惑したけど「まだ歌うんかい!」と思ったら面白くて面白くて一人で鼻噴いてた(他の観客はポカーン)。ただ、野見さんのキャラを生かす出し物よりもそうでない出し物の方が多くて、それがコント面のガッカリポイントだったと思う。野見さんは全身を使ったリアクション芸には向いてない。能見さんの、常に焦ってて小汚くて不器用で見てるとなんか腹の立つキャラクターには、もっとこぢんまりとした出し物の方が向いているはず。だから「箱の中身はなんじゃいな」とか「粉の中の大福を探す」とか「ワサビ寿司を食べる」とか、そういうのが見たかったなぁ。野見さんは顔と声が面白いのに台詞もあんまりないんだもんなぁ。基本的にツッコミ不在なのもコントの構造としては残念だったと思う。板尾がツッコんでたら面白かったろうになぁ。


映画としては”映画ごっこ”のレベルだと思う。このご時世に大金をかけて映画ごっこをやらせてもらえるなんて松本人志は幸せな人だなぁと、エンディングクレジットを見ながら思った。何よりまずシーンの見せ方の基礎ができてない。だからシーン毎の「このシーンは○○を表してますよ」というメッセージが非常に曖昧で、何を言いたいのかよく分からず困惑するシーンがすごく多い(私は「大日本人」で免疫ができてるのでそういうシーンは深く考えず全て無視した)。おそらく松本信者は「いやいやその難解なところが松本映画の醍醐味」と言うんだろうけど、要は『型が出来てないのに型破りをやろうとして失敗してる』だけだと思う。あるいは奇をてらいすぎてるというか、気負いすぎてるというか。松本人志は一度、型通りの、コントでも何でもない、ごく普通の映画を作ってみて欲しい。今後も映画を作っていくなら、もういちいちコントに逃げずそろそろそれをやるべき段階だと思うし、松本人志はそっちの方が向いてるんじゃないかとも思う。画面の作り方はちゃんとしたレベルだと思うし(だから45点)。