ふとんのなかから

びまん性大細胞型B細胞リンパ腫にかかったあとだらだらしている人のブログ

スタートレック・ボイジャー 第105話「Latent Image(ドクター心の危機)」

EMHドクターがホロ・イメージャー*1を利用した医療診断を考案した。さっそく艦長以外の全クルーを撮影してみたが不可解な点が一つあった。


キム少尉の体をホロイメージで再現したところ後頭部にドクターの記憶にはない、しかし明らかにドクター自身が執刀した手術跡があったのだ。さらに18ヶ月前の、手術が行われた日のドクターの記憶バッファには、記憶ファイルが消去された形跡があった。


EMHプログラムを書き換えた人物がいる…それは、ジェインウェイ艦長だった。艦長は18ヶ月前のある出来事のせいでドクターのプログラムが崩壊しかけたので記憶を消去したと明かす。そしてそれが最善の判断だったとも言う。また今回も記憶を蘇らせるわけにはいかないので、ドクターの48時間以内の記憶を消去すると艦長命令を下す。


頑な艦長に反感を感じたセブンは「ドクターはモノではない。独自の人格を持っている」と訴える。確かにドクターは人格ともいえる、元のEMHプログラムを超えた部分を持ち始めていた。そして艦長は迷った末、ドクターの”人格”がつらい記憶を乗り越えることを信じ、またホログラムへの差別があったことも認めドクターの記憶を戻す。


18ヶ月前、ドクターはキム少尉・ジェタール少尉と共にデルタフライヤーで調査任務に出かけ、異星人の襲撃に遭った。ドクターはホログラムなので無傷だが二人は瀕死の重大なダメージを負った。どちらか一方を今すぐ手術すれば助かるが、もう一方は間違いなく助からない…。そしてドクターはキム少尉の手術を選択した。キム少尉は友達だからだ。ジェタール少尉は死んだ。


このとっさの判断に、ドクターの倫理サブルーチンは耐えられなかった。後悔と自責の念がドクターに異常な行動をとらせ、そして記憶は消去された。だが今度は違う。ドクターは今はまだ再び苦痛の最中にいるが、きっと困難を乗り越え、人格をまた一歩成長させるだろう。

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あらすじを書くのも大変な深いストーリー。序盤で「犯人は誰だ?」と思わせておいて実は艦長でした、というのが面白い。というか今回の艦長はまさに”悪魔艦長”の呼び名にふさわしくもの凄く頑固で自分勝手。そりゃセブンもカチンとくるわさ。


二人の重篤患者がいて、思わず友達の方を助けてしまう。ただの医療プログラムはこんなことしない。ましてやそのせいで自責を感じるなど、なんと人間的で愛すべきキャラクターだろうか。ドクターは間違いなくホログラム生命体へと近づいている。これからの話も楽しみだ。


そういえばドクター役のロバート・ピカード(凄い名前…)が来日するそうな。見に行きたいけど今のところDVDを買う余裕はない、残念。

*1:未来のデジカメみたいなもの