ふとんのなかから

びまん性大細胞型B細胞リンパ腫にかかったあとだらだらしている人のブログ

新橋演舞場 秀山祭九月大歌舞伎 夜の部

3日に観劇。公演二日目。こんなに早いのは初めて。演舞場通いも勝手が分かって少し慣れてきた。東銀座4番出口を出てすぐ後ろの通りの安めの自販機で飲み物を三本確保してからゆで太郎牛めしを食べて演舞場へ向かう(びんばう人なので場内では前日安物スーパーで買っておいたパンを食べる)。昼の部が大幅に押したようで入場できたのは本来の上演時間の間際だった(そのため夜の部も大幅に押して21:05終演予定が21:20に)。落ち着く間もなく開始5分前のブザーがブー。席は三階1列45番。ラッキーな戻りチケット。ここは一番安い席ながら舞台全部と花道が半分くらいまで見える。たぶん三階B席では最強の席。これが44番になると席と前の壁の間が非常に狭くて居づらく(なのでその席の巨漢の兄ちゃん足が痛そうでかわいそうだった)、46番はおそらく上手が見切れてしまう(この席のおばはん最悪の客だった…角度的に視界に入らないのだけが幸いだった)。この日は8月と違い大向こうの人もたくさんいて全般的に華やかな、歌舞伎らしい雰囲気の演舞場だった。

猩々

予算的にイヤホンガイドを借りなかったので何だか全然分からず。予習はして行ったんだけど、やっぱり舞踊は初心者には分からん…。もっと狸っぽいのが出てくるのかと思った。って狸と猩猩は違うのか。調べたら辞書に載ってるし(笑)。予習が足りなかったなぁ。確かに猩猩が酒をぐいぐい飲む舞踊ではあった。

俊寛

結婚式の舞で転倒した笑いがだんだん侘びしさへの号泣になっていく俊寛に目から汁が…。自分だけ帰れないと知り地面に転げ回って嘆き悲しむ俊寛に目から汁が…。とにかくもう吉右衛門丈の俊寛がかわいそうで目から汁が出る。福助丈の千鳥がわりとはっちゃけた海女で、悲しい物語の中で救いになってたかもしれない。賛否両論かもしれないけど…。段四郎丈の瀬尾と仁左衛門丈の丹左衛門はどちらもいかにも憎まれ役、いかにも正義の味方な感じで良かった。船が出てから俊寛がそれを追う場面。吉右衛門丈の俊寛はあんまり「オーイ!オーイ!」とは言わないんですね。あれが播磨屋の型なのかな。最後に岩の上で無言のままじっと水平線の向こうを見つめる俊寛がやっぱりかわいそうで目から汁が出ました。

鐘ヶ岬

予算的にイヤホンガイドを借りなかったので何だか全然分からずその2。予習はして行ったんだけど、やっぱり舞踊は初心者には分からん…。道成寺ものではありながらも娘道成寺的ではないんですねたぶん。あんまり動かないというか。舞踊は難しい…。とりあえず芝翫丈が元気で良かった。

うかれ坊主

これは富十郎丈自身のを映像で見たことがあるし、5月に松緑丈の”ハイパワーうかれ坊主”も見たので何とか分かります。富十郎丈のうかれ坊主は何ともいえない愛嬌がありますねぇ。体からにじみ出るうかれ坊主の空気。「しいたけさんに、かんぴょうさん」のとこが好きです。

引窓

あんまり期待してなかったんだけどなかなかの当たり。全員がニンだったような気がする。松緑丈は巨大だからそのまんまで力士役にぴったり(笑)。東蔵丈のお幸はいかにも世話物の老母で良かったし、孝太郎丈のお早も廓上がりの都会的な明るさが良かった。染五郎丈の十次兵衛も情に篤い実直な男を好演してた。染五郎丈って正直あまり上手でない歌舞伎役者というイメージがあったんだけど最近はなんか良いですね。というわけでこの演目はお勧めです。初見ではたぶん分からない設定がたくさんあるのでぜひ予習をしてから見ていただきたい。


次は昼の部を見る予定。戻りチケットで全く同じ席。今度は隣近所の客層も良いといいなぁ…。