ふとんのなかから

びまん性大細胞型B細胞リンパ腫にかかったあとだらだらしている人のブログ

イラク人質殺害事件に思う

正直なところ、私もこのニュースはすでに消費しかけている。ほんの数日前の殺人なのにもう遠い昔のできごと、あるいはなかったことになりかけている。彼の動機があまりにも悲劇性とかけ離れていたからだ。だが収まりのいいストーリーではないからといって現実を無視するのは自分で自分の思考停止ボタンを押すことでしかない。よってここにイラク人質殺害事件について思うことを記す。


外務官僚には「どうしたらいいか分からん」と素直に開き直って欲しかった。できもしない難題に直面して体面を保つ為にうまく立ち回ろうとした結果が、前回と同じ対処法の踏襲であり死体の誤報であり人質の殺害だったのだから。官僚のようなクズが無能で無策でマニュアルがないと何もできないのは私でも知ってる。だからこそ最初の48時間を無為に過ごしたり米軍の連絡待ちをしたりせず、もっともっと必死に泥臭く駆けずり回って欲しかった。したがって私は彼らが全力を尽くしたとは思っていない。今度の出来事を通してもまた「稚拙」しか体現できなかったのは巨大な失敗だったと思う。


細田官房長官が救出できなかったことを反省したのは意外だった。「動機が不純なら殺されてもいい、いやむしろ殺されてしまえ」的な風潮がまかり通っている今にあっては貴重な反省だったと思う。ほんとはどんな全力の努力・過程を取ったにしても救出対象が助からなければ意味がなく、失敗すれば反省するのが当たり前なんだが…。しかし国民・政府が「そいつを助けるか否か審査する社会」というのは恐ろしい…。


小泉はダンマリ・はぐらかしを通すかと思ったがむしろ自画自賛をしていてその方が怖い。「悲劇性が薄いから自画自賛しても世論は受け入れてくれるだろう」ということを計算した上で発言しているのがとても怖い。前から思っていたが小泉は人の感情や命や状況をクッションボールでも扱うように自分のために利用する。何かにつけてニヤニヤしているが彼には感情がないと私は思う。あんな非情な男は見たことがない。


最後に人質についてだが、自分探しは責められる点ではない。彼が愚かだったのは忠告を無視し続けたことだ。そして責められるべきは彼の愚かさであり彼の家族ではない。私は彼に同情はしないが哀れな人だったとは思う。