ふとんのなかから

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ジェニーはティーン☆ロボット 第7話A

第7話A ロボットなんて大嫌いだの巻(THe ReTURN OF RAGGEDY ANDROID

あらすじ(ネタバレ有):
ジェニーはティーンの溜まり場”メズマーズ”に来ていた。ここでブラッドが働くことになったのだ。店内はティーンエイジャーでいっぱいで、ここに来ればみんなの仲間に入れるとジェニーは喜ぶ。だがそこにロボット嫌いの店長・メズマーが現れ「この店にはロボットの入店を断る権利があるんだ!やつらは危険で信用もできん。臭いもたまらん」と言いだしジェニーを追い出そうとする。メズマーはブラッドにジェニーを追い出すよう命令するがブラッドにそんなことはできず、頭に来たジェニーは自分から店を出て行く。


「あんな店二度と行くもんですか」ジェニーは腹は立てるが、本心はまた行きたくて仕方ない。そこでジェニーは家に帰ると以前使った”人間皮膚スーツ”を探す。外見をまた”普通の女の子”にして、メズマーズに行こうというのだ。皮膚スーツはウェイクマン博士が改良を重ねていて、完成はしていないが製造装置ができていた。ウェイクマン博士が装置を動かすと皮膚スーツが排出され、ジェニーは着てみようとする。ところがジェニーが何かする前に皮膚スーツから触手が伸びてきて、まるで生き物のようにジェニーの体にからみついてくる。これはウェイクマン博士も想定外のことだった。


そして部屋に閃光がきらめくと、そこには一人のかわいい女の子が立ってた。皮膚スーツを着たジェニーだ。それはウェイクマン博士も見とれるほどの外見で、メズマーズに行ったジェニーはみんなの注目の的になる。ブラッドもジェニーのかわいさにどぎまぎし、ついジュースを倒してジェニーにかけてしまうがジェニーの感電する様子を見てその女の子が”ジェニー”であることに気づく。


ジェニーはドン・プリマにダンスに誘われる。もちろんOKするが、そこに邪魔が入る。宇宙人の暴走族が店に乱入してきたのだ。メズマーは「この店はロボットも宇宙暴走族もお断りだ!」と暴走族を怒鳴りつけ、一触即発の事態に。ジェニーはいつものように暴走族を退治しようとするが、どこからか「普通の女の子ならそんなことはしないで男の子にまかせるはずよ」という声が聞こえてきて、戦うのを躊躇してしまう。暴走族には屈強な男の子が立ち向かったが、暴走族は相手にせず、ジュークボックスを壊して今日のところは去って行った。


その夜、ジェニーは暴走族をやっつけなかった今日の自分の行動を不思議に思いつつ眠りに入る。すると皮膚スーツが勝手に動き出して、なんとジェニーに取り憑いてしまった。皮膚スーツは邪悪な意志を持っていたのだ。翌日目を覚ましたジェニーは自分が皮膚スーツを着ていることに驚く。そして皮膚スーツはジェニーに語りかける。「人間の姿の方がかわいいに決まってる」「外見だけじゃなく仕草も普通の女の子にならなきゃだめ」「人間が一番なの」ジェニーは次第に洗脳されていく。


夜になって、メズマーズではブラッドが忙しく働いていた。そこにジェニーが現れ、まるで人間の女の子のように気取った振る舞いをする。そんなジェニーにブラッドは違和感を感じる。そして今夜こそジェニーはドン・プリマと踊ろうとするが、そこを今度は仲間を多数引き連れた暴走族が乱入する。店内はメチャクチャに荒らされるが、洗脳状態にあるジェニーは知らんぷり。ブラッドはたまらず暴走族にはむかうが返り討ちに遭う。


親友が酷い目に遭いさすがにジェニーは立ち上がるが、皮膚スーツは体の自由を奪ってその邪魔をしようとする。「普通の女の子はそんなことしない」と言う皮膚スーツにジェニーは「あたしにはみんなを助けるのが普通のことなの!」と言い放ち、体にジュースをかけて皮膚スーツの束縛を外す。スーパーヒーロー・ジェニーは復活し、暴走族はやっつけられ宇宙へ去っていった。


ジェニーは冷凍庫に閉じこめられていたメズマーを助け出すが、一部始終を見ていなかったメズマーはジェニーを悪者にして「やっぱりロボットにろくな奴はおらん!」となじる。ジェニーは「分かったわよ!」と店を出て行き「こんなとこ辞めてやる!」とブラッドもそれに続いた。メズマーの酷すぎる仕打ちにみんなも店を出て行く。ジェニーは体からラジカセを出し「これが私の標準装備よ」と誇らしげに言い、みんなと遊ぶ。客がいなくなってしまったメズマーズではメズマーが嘆いていたが、その体を皮膚スーツの触手が捕らえる。店内にはまだ生きていた皮膚スーツの、邪悪な笑い声が響くのだった…。

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第7話A スタッフ
STORYBOARD:CHRIS MITCHELL, ROB RENZETTI
DIRECTED:ROB RENZETTI

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感想:

ジェニーの自己のスタンスが分かるけっこう重要な話。まとめるとこんな感じになる。

  • ジェニーは人間になりたいわけではない。
  • 「正義を守るロボット」が自己のアイデンティティであることを理解していて、そのための戦いを義務や嫌な仕事とは感じていない。
  • 人が自分をじろじろ見るのは気にしている。

というわけでジェニーは「ティーンの女の子ロボットとして、人間のティーンエイジャーと同じ扱いをして欲しい」と思っていて「人間のティーンエイジャーになりたい」と思っているわけではないんですね。ピノキオ型ではないんです。むしろもう少し権利意識があればロボットの市民権を求めて運動でも起こしそうな、そっちの方向が彼女のスタンスなのです。これは新しくていいですね。ピノキオ型ストーリーで生まれる悲劇もある程度は回避できるんじゃないかと思います。「あたしにはみんなを助けるのが普通のことなの!」という台詞は格好良かった。


他のこの話のポイント

  • ウェイクマン博士の仕事は意外といい加減。今回まるで想定外の化け物を作ってるし、鼠のチョロ助やXJ妹のこともあるので、どうもウェイクマン博士は失敗作を作る方が多いようです。きっとハードを作るのが上手くてソフトを作るのが下手なんでしょう。
  • 宇宙暴走族を暴走族ロボットと訳してる。これはいただけませんなぁ。スカポン太さんの日記を見るまで全然気づかなかったよ…。あれがロボットだとジェニーの社会との対立構造が一層深まっちゃうんでね、この訳は酷すぎます。


メズマーに「ロボットは臭い」と言われて思わずワキを嗅ぐジェニーさん。あなた汗腺とかないでしょうが。



皮膚スーツ(ラジェディー・アンというらしい)を着たジェニー。古き良きアメリカの女の子、な感じ。こういう”なんとなく分からせる”センスは凄いねぇ。どことなく魔女っ子チックルみたいだけど。



皮膚スーツに洗脳されるシーン。このときだけ指が5本あって不気味すぎ…。



皮膚スーツが脱げる瞬間の一コマ。ラジェディー・アンの強い怨念が見えます。あなたの知らない世界…。