ふとんのなかから

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「デークスターズラボ」のクリス・サヴィーノはなぜつまらなかったのか

最近「デクスターズラボ」を見直して再認識したことだが、サヴィーノが制作を担当しているシーズン3以降はそれ以前と違って壊滅的につまらない。だが今の視点で見直しあらためて分かったことがある。それはゲンディとサヴィーノの笑いに対する方向性の違いである。ゲンディはキャラクターの動きで面白さを表現しているのに対し、サヴィーノはシチュエーションギャグで面白さを表現しようとして、ことごとく失敗しているのだ。


しかしこの失敗には原因がある。おかしな状況で笑わせようとするシチュエーションギャグは、その状況の主役が適度にアホなキャラでないと笑えない。おかしな状況で、おかしなキャラが、おかしな行動をするから面白いのだ。おかしな状況で、まともなキャラが、右往左往するだけでは面白さは発生しない。シチュエーションギャグはリアクションが勝負なのだ。


つまり主人公が”常識人”デクスターであるかぎり、シチュエーションギャグが馴染まないのは当たり前だったのである。サヴィーノはゲンディから渡された作品を放り出さずに仕上げるアニメ制作者としては問題なかったが、自身の笑いの感覚と作品との親和性を見きわめることはできなかった。「デクスターズラボ」のシーズン3以降が失敗した原因はここにある。


ではどうすればよかったのか。極論をいうと、自身の作風を考慮すればサヴィーノは主役をデクスターではなくディディにすべきだったのだ。そうすればきっと面白いギャグアニメになったはずである。もっともそれはもう「デクスターズラボ」と呼べるものではなかったかもしれないが。